2018年4月22日日曜日

悲喜こもごもの決算企業…-99%から+9700%超まで


もちろん、いかに決算といえども株価がそこまで大きく動くことはあり得ませんので、言うまでもなく、オプションの価格変化なんですけどね。


先週、決算企業のオプション売りは結構いい戦略だと思うと述べていたわけですが、理論上は、決算の発表に伴いボラ(IV)が失われて、オプション価格のベースラインは確実に下がるためその戦略は絶対に間違っていないと思うんですけど、現実は意外と奇なりということで、その記事で着目していたNFLX、JNJ、GEは、どれも結局オプション買いの方が遥かに大きな利益を産み出せていたことになっていたようです。


ただしもちろん、プット売り取引でも、しっかり利益を出せた場合がほとんどです。

正しい方への買い取引をしていれば、プット売りで得られたのより遥かに大きな、ヤバいレベルの利益を叩き出せた、という感じですね。


しかしもちろん、オプション買い取引は、外れを引いた場合は悲惨です。

それこそタイトルに挙げた通りの、-99%超、事実上0になるのも余裕のよっちゃんですね。


さらに厄介なのは、株価が上がる下がるの予想が当たっても、微妙な動きだと大損になる可能性がある(というかそうなる可能性は高い。今回はそういう例はなかったようですが→追記注:勘違いで、実はやっぱりありました)、というのが悩ましい点です。

予想を上回るポジティブサプライズ(か、プット買いならネガティブサプライズ) じゃないと失敗に終わるので、中々難しく、非常にリスキーなのが決算前のオプション買いでしょう。

後からなら何とでも言えるんですけどね。


一方、決算前のプット売り取引の場合は、予想とは多少逆に行っても、ある程度まではIVの消失による確定利益があるので助かる場合も多いです(もちろん、あまりにも大きな暴落を食らってしまうと大きな損になりますが、投入資金が0になることはありませんので、それでもオプション買いでの外れよりは遥かにマシです) 。


もう既に週の途中の記事でもいくつか見ていましたが、その注目していたNFLX、JNJ、GEと、それからかなりのサプライズ値動きであったPMの、決算発表から金曜日時点までのオプション板を振り返ってみるとしましょう。


まずはNFLX・・・

こちら先週の記事で貼った決算前週金曜のオプション板・・・

4月13日引け時点のNFLXオプション板

NFLXは、決算前後のオプション板は既に記事で触れていましたが、改めて再掲しておくとします。


16日月曜日の引け後に決算が発表されましたが、引け時点のオプション板はこんな感じ・・・

4月16日引け時点のNFLXオプション板

ご存知の通りNFLXは決算後大きく上がりましたが、決算直前の月曜の取引では株価が下がっており、決算直前の株価の動きなど全く決算結果とは関係ないということがはっきりと見て取れますね。


そして、こちらも既に見ていた、決算発表後翌日のオプション板です。

4月17日12:27時点のNFLXオプション板

4月17日引け時点のNFLXオプション板

先週の記事では「行使価格320ドルプットを、1枚19.50ドルで売ってみるのはどうだろう」などと述べていましたが、結論としては、この取引は会心でしたね。

お昼時点で、このプットは1枚0.80ドルになっていましたので、大勝利は確定、この時点で、プット売りでゲットしていた1枚1950ドル(満期を迎えるまでは負債)は、1枚80ドルにまで価値が下がっています!

(すなわち、1枚あたり1870ドルの利益・・・10枚売っていれば、1万8700ドルの利益ですね)


もちろんこのまま満期まで待てば、このプットはNFLXが株価320ドルを割らなければ紙くず化が決定・・・普通に考えてもう下がらないでしょうから、紙くず化するのは濃厚なので、80ドルすら惜しければそのまま放置でもいいのですが、もしプット売りで拘束されている資金をとっとと解放させたいなら、今なら80ドル払ってプットを買い戻すだけで、晴れて拘束されていた3万2000ドルが戻ってきます。

まぁプット売りをする人はそんなにせかせかしていないと思うので、あと水木金と3日待てば80ドルすら払わずに済むので買い戻す必要もない(実際私がこの売りポジションを持っていたら、放置するでしょう)ですが、80ドル払えば、1870ドルの利益確定、そして証拠金として拘束されていた3万2000ドルも戻ってくるので、その資金を使った次の投資に3日も早く踏み切れる、というお話ですね。


なお、先週の例では320ドルプット売りを考えてみましたが、さらに言えば、行使価格330ドルのプットでもこの時点でアウトオブザマネーになっていますので、そちらを買っていればより利益は大きかったですね(決算前に25.75ドルぐらいで売れていたものが、この時点で2.575ドルぐらいになってます。10倍差ですね!)。


しかし!!


既に以前の記事で述べましたが、真の勝者はディープインだったプットを売っていた人ではなく、現物株を買っていた人でももちろんなく、アウトからディープインに入ったコールを買っていた人だったのです。


既に触れていたので軽くだけ述べますが、お昼の時点のオプション板で見ますと、例えば月曜日の引け直前、決算の大上がりに賭けて直近満期の行使価格322.5ドルコールを買っていれば、+138.87%、つまり、先週のプット売りの例に出した3万2000ドルと同額の資金を全力投入していたら、 4万4438ドルアップ、つまり一気に7万6000ドルになっていた感じですね。


しかし当然、逆にNFLXが悪決算で株価暴落なんかした場合、プット売りならそれでも-10%も損失は行かないでしょうが、コール買いですと、誇張じゃなく-100%全額スル可能性のあるデンジャーな取引ですので、当たった時の暴利だけに目をやってはいけないのは重要なポイントです。


さて、その後どうなったか、水木金のオプション板と、5日チャートを参考までに貼っておこうと思います。

4月18日引け時点のNFLXオプション板
4月19日引け時点のNFLXオプション板

4月20日引け時点のNFLXオプション板

https://www.google.com/search?q=NASDAQ:NFLXより
 
結局NFLXは株価327.77ドルで満期を迎えたので、行使価格320ドルプットは無事紙くず化しましたね。

このプットを1枚売っていただけで現金1950ドル丸儲けの、完勝でした。


先ほど考えた行使価格330ドルプット売りですと、インザマネーに入ってしまったので、1株あたり2.23ドルの損が発生しますが、時間価値の消失のおかげで、上で示した「決算翌日お昼時点でプットを買い戻していた場合」(1枚2.575ドルで買い戻せた)よりも、一応出費としては小さくなる感じですね。

もちろん株を買わされることになるかどうかの違いはありますが、NFLX現物株を持っても問題がないと思う方なら、インザマネー転落で株を買わされることになっても、全く問題ない話でしょう。



まぁ、大体どれもこんな感じですね。


その他の銘柄は、決算後、JNJは微落PMは暴落GEは微アップという感じでしたので、ちょうどそれぞれどんな動きでオプションの動きがどうなるのかのいい例かなと思ったんですが、JNJもGEも、最初に述べた通り、買い取引でも十分な利益が出せるぐらいにオプション(JNJはプット、GEはコール)価格がアップしていました。


・・・と、実はたった今気付いたんですけど、JNJは決算直後、17日火曜日のオプション板を撮るのを完全に失念していました。


JNJ決算は「NFLXの翌日」という印象だったので、NFLX決算後のオプション板が17日火曜だったことから、17日時点では「明日がJNJだ」と勘違いしちゃってた感じですかね、多分。

しかも、JNJはたまたまちょうど決算後も2日連続でそれなりに下落していたので、18日水曜日のオプション板が「決算後の大きな動きだ」と今の今まで勘違いしていました。


まぁ、撮り忘れてしまいましたが、せっかくなので、決算発表日にオプション価格がどの程度動いていたのか、オプション価格を推測することで再現しておきましょうか。


月曜日のJNJ株価は前日比+1.14ドルだったので、オプション価格は、まぁ誤差は大きいでしょうが1.14ドルにデルタ値をかけ合わせた変化をしたとして(満期直前ですが、決算が控えているので、時間価値はほぼ失われません)それを月曜日引け時点のオプション価格とし、そして肝心の決算後・火曜日引け時点のオプション価格は、水曜日のオプション価格の「前日比」で分かりますから、こちらは確定可能ですね。

とりあえず、チャートと、決算前週金曜&決算後水曜のデータを貼っておきます。

https://www.google.com/search?q=NYSE:JNJより

4月13日引け時点のJNJオプション板

4月18日水曜日引け時点のJNJオプション板

金&水で両方表示されていたのが123ドルから133ドルの行使価格なので、その範囲で2ドルおきにオプション価格に注目すると、こんな感じですかね。

金曜日 → 月曜日の推測値(株価+0.87%)→ 火曜日(寄り付き前決算報告:株価-0.93%)のオプション評価額の変遷という並びです

(あれ、実は決算日より、翌日水曜日(-2.16%)の方が、株価は大きく落ちてたんですね)


行使価格123ドル
コール: 7.675→8.76ぐらい→7.60-13.26%
プット: 0.225→0.13ぐらい→0.055-57.37%

行使価格125ドル
コール: 6.125→7.08ぐらい→5.525-21.96%
プット: 0.39→0.23ぐらい→0.08-65.35%

行使価格127ドル
コール: 4.425→5.29ぐらい→3.65-30.94%
プット: 0.675→0.42ぐらい→0.155-62.76%

行使価格129ドル
コール: 2.89→3.62ぐらい→1.92-46.89%
プット: 1.175 →0.77ぐらい→0.375-51.18%

行使価格131ドル
コール: 1.66 →2.20ぐらい→0.65-70.52%
プット: 1.985→1.39ぐらい→1.15-17.13%

行使価格133ドル
コール: 0.835→1.19ぐらい→0.125-89.46%
プット: 3.15→2.35ぐらい→2.625+11.73%


あらら、何だ何だ、やっぱり、株価-0.93%程度の小さな下落では、決算発表後のボラの消失に打ち勝てず、プットも軒並み大幅下落をしていますね!


当初水曜日のオプション板を見て、プットは軒並み+200%とかの値上がりをしていたので、「この程度の値下がりで、決算後だというのに何でプットがこんなに上がるんだろう?」と不思議だったんですが、何てことはない、水曜日は決算直後ではなかったのであり、ただの満期直前の大きい下落(JNJにしては、ですが)でプットが軒並み超アップしていただけだった、ってことなんですね!


ということで、決算前にJNJの暴落に賭けてプット買いをしていたら、実際JNJは下がりましたが、大した下がりでもなかったので、撃沈していた感じでしょう(もっとも、水曜日の株価下落でプット価格は結構なアップをしますが、火曜日決算後に甚大な下落をしていたので、若干焼け石に水ですね)。


ただし、プット売りをしていても、JNJの株価は割と下がってしまったとも言えるので、これもほとんどの場合で敗北だった感じですね。


最終的にJNJ株価は126.66ドルで満期を迎えたので、行使価格126ドルプット売りなら一応プット売りでのプレミアム丸儲けの完全勝利ですが、前週金曜日時点でさえこのプットは1枚0.5ドルぐらいでしか売れなかったので、決算跨ぎだというのに全然おいしくない、しょぼいレベルですね(1万2600ドルの証拠金で、わずか50ドルの利益)。


4月19日木曜日引け時点のJNJオプション板

4月20日金曜日引け時点のJNJオプション板
 
JNJなんて適当に流すつもりが、オプション板を撮り忘れたばっかりに無駄に長くなってしまった・・・。



残り2つは、まぁご覧の通り、という程度で終えておきましょう。

注目のGE、まずは決算前、前週の金曜と、発表前日の木曜のオプション板を参考までに貼っておきます。

4月13日引け時点のGEオプション板

4月19日引け時点のGEオプション板

GEはNFLX程の大幅アップではありませんでしたが、それでも決算発表を終えて寄り付き直後、株価一時15ドル超えの+7%超、コールは、上手くアウトからインに入った行使価格14.5ドルのもので、当日満期ですが一気に+220%3.2倍になりましたね!

4月20日9:31時点のGEオプション板

最終的にGEは寄り付き直後よりは少し落ちてしまったのでコールの上がりも盛り下がってしまいましたが、満期当日ですし、もしコールを買っていれば、即利確売りしたはずなので問題ないでしょう。

4月20日引け時点のGEオプション板

https://www.google.com/search?q=NYSE:GEより

GEは結構株価がアップしたので、割と攻めたプット売りでも利益を出せた感じですが、さすがに「GEだし、ひょっとしたらまた悪決算で株価暴落するんじゃないだろうか・・・?」という予感は強かったので、コール買いは論外で、プット売りも怖くて中々できなかったと思いますが、勇気を出してGEを信じれば結構な利益を出せていた、という感じですね。



最後、PMは、こちらはもう触れていたので画像を貼るだけでいいでしょう。

https://www.google.com/search?q=NYSE:PMより

こないだ触れた通り、決算直後のお昼、+9700%とか、最高で+1万%超え(ただし、このオプションの建玉は0だったので、事実上この世に存在していない商品だったわけですが、理論上は、前日に買っていれば+1万%超の利益を叩き出していた感じですね)だった、という感じでしたが、逆にPMの上がりに賭けて同じ行使価格のコールを買っていた人は、-99%超でご愁傷様でした、というお話です。

4月19日12:18時点のPMオプション板

4月19日引け時点のPMオプション板


金曜日もPMは下がり、プットはなおも結構な値上がりを見せていました。

4月20日引け時点のPMオプション板

突然の株価下落で、4月27日満期のオプションは、行使価格81~84ドルまでの項目が新設されたようですね。

(あれ、オプション板に表示されている株価、時間後取引でいきなり100ドル超えをマークしていますが、今見たらチャート上でも記録されていなかった感じなので、単なる時間外によくある一瞬のノイズ的な約定でしょうかね)


PMのプット買いは結構いいかなぁ、って気もしますが、まぁともかく様子見ですね。



さて、長くなりましたが、やはり決算を跨いでの動きは面白いですね。


決算前の売りは極めて有利ですが、必ずしも売りが勝つわけではなく、大きく動けば買いで圧倒的な利益を出すチャンスもあるのが、オプション取引の面白さでしょう。


今週は、月曜日のGOOGLに始まり、FBAMZNTWTRなどといったFANG系大型銘柄だけでなく、T (AT&T)V (Visa)BA (Boeing)GSK (GlaxoSmithKline)F (Ford) にと、めちゃくちゃ色んなセクターでビッグ銘柄の決算が目白押し!!

(現地時間月曜のGoogleと26日木曜のAmazonを除き、上で挙げた全て25日水曜日の発表!めっちゃんこ動きそうな日ですね!)


よっぽどの動きでもない限り特に触れることはないかと思いますが(FANG銘柄は話題がなければ触れるかもしれませんが)、楽しみに見ていこうと思います。

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