2018年1月9日火曜日

インサイダー取引情報を活用しよう・後編 ~スクリーニング~



前回はNasdaqのサイトから、気になる企業のインサイダー取引データを、SECのサイトよりも見やすい形で入手しました。


しかし、気になる企業のデータはこれで十分見やすく一覧で参照できるのですが、そうではなく、企業間の横断検索、要は、


特定の企業インサイダー取引情報


ではなく、逆の、


インサイダー取引情報特定の企業


の流れ、いわゆるスクリーニングをするにはどうすればいいのか、むしろ投資先の発掘にはそれが気になります。


これも色々データサイトはあると思いますが、データの反映が非常に遅かったり(1ヶ月後とか)、使い勝手が悪かったりとイマイチなサイトが多く目についた中、個人的にはこのサイトがとてもいいのではないかと思いました。


米国市場インサイダー取引情報の決定版・Openinsider.com

(http://openinsider.com/)


Openinsiderなるこちらのサイト、色々な検索条件を指定できるようですが、デフォルトで既に5つほどのインサイダー取引情報が列挙されています。


http://openinsider.com/より



画像では1番上しか見えていませんが、上から、


 最新の大型買い (Latest Cluster Buys) 


 1週間の、企業のトップによる買い (Top Officer Purchases of the Week) 


 最新のインサイダー買い (Latest Insider Purchases) 


 最新の10万ドル以上のインサイダー売り (Latest Insider Sales $100k+) 


 最新のインサイダー取引 (Latest Insider Trading) 



となっています。



考えることはみな同じなのか、最初の2つが、まさに私の注目したい項目になっていました。

順番に、全てのインサイダー取引から、大型買いと、企業のトップの買いのみをピックアップしてくれているデータということですね。


至れり尽くせりです。


3番目は、大型に限らず全てのインサイダー買い、4番目は大型の売り、5番目は特に条件なしに全てのインサイダー取引の一覧を列挙してくれているという形でしょうか。


私的には、やはり1番目のデータが気になります。


企業トップの買いも気になりますが、よく考えたら必ずしも企業のトップじゃなくても、むしろ現場に近い方が事業をよりよく把握している可能性が高いですし、とにかく大型の買いがあるならば、それはインサイダーの自信の表れだと思うからです。


インサイダー取引の目立った企業のスクリーニング


早速、一番上、 Latest Cluster Buys の黒いバーをクリックしてみました。


http://openinsider.com/latest-cluster-buysより



ちなみにこちらは1月第1週の取引が終わってから週末に見てみたデータですが、既に金曜日の最新データが反映されているようです。

金曜日中には反映されていなかったとしても(未確認ですが)、少なくとも日が変わればもう反映されているようなので、速報性にも全く問題がないようです。


さらに後で見ますが、企業別のインサイダー取引一覧も十分見やすく、しかもこのサイトから実際のForm 4を閲覧するのもワンクリックで可能だったので、正直前2回で紹介したSEC公式・Nasdaqとも、はっきり言って不要でした。


このサイトがあればインサイダー取引情報は完璧です。前回まではまさに無意味な説明をしてしまいました。



ともかく、実際のデータですが、やはり着目すべきは取引額 (Value Traded) でしょう。


大きい順のソートまではさすがにできませんが、目で見て桁が大きいのに注目すれば十分でしょう。


先ほど貼った画面では、Prospect Capital Corporation (PSEC) なんかが目に付きますね。12月27日に、5771万9533ドルもの大量のインサイダー買いが行われています。



そしてさらに下の方を見ていくと、私でも知っている企業での大型購入がありました。


先ほどの画像の続き


Lending Club (LC) で、なんと1億ドル超えのインサイダー買いが報告されています。


これは気になりますね。

ついでに、ティッカーシンボルにマウスオーバーすると、チャートまで出てくるという親切設計です。



早速、日付またはティッカーシンボル・企業名をクリックしましょう。

すると、LCのインサイダー取引一覧画面へ移動します。


http://openinsider.com/LCより


見てみると、この合計1億ドル超の購入は、Chen Tian Qiaoさんという、インサイダーはインサイダーでも企業内部の人ではなく、保有率10%以上の大株主さんでした。

10%以上の大型株主は、インサイダーに分類されます。

よって、そういった大型株主が取引を行う際は、内部の人間ではなくても、Form 4の報告が必要になるわけです。


Chen Tian Qiaoさんは、調べたらどうやらShanda Groupという投資企業のCEOのようで、割と著名な企業家にして起業家のようですね。



どうでしょうか、企業内部の人ではないと、結局一般投資家と変わらないのではないかという気もしますが、それでも私はChenさんより投資知識は圧倒的にないので、彼の投資方針を信じるのも悪い手ではないようにも思います。

(ちなみに、Chenさんの購入から数週間経ちますが、今のところLCの株価はほぼ完全に横ばいです。
また、実際のForm 4を見ると、前回の記事のティッシュさんによるGEのインサイダー買い同様、こちらもChenさんの名前ではありますが、Shanda Groupが保有するという形の、間接購入だったようです)



LCはフィンテックで日本でも(少なくとも米国株投資家には) 有名な企業ですが、最近の株価は全く冴えないものの、Chenさんを信じて長期投資先に選ぶのもいいかもしれませんね。


その辺りはもう各人の自由でしょう。


結局どの企業が投資先としていいのか、それはもう誰にも分かりません。

私自身他人にアドバイスなどできませんが、そもそも他人にアドバイスできる人なんて投資の世界には存在しないでしょう。



ある程度投資先として選ぶのに十分納得のいく根拠があってその企業を選んだのならば、後はもう正直究極的には運だと思います。


自分自身が経営する企業でもない限り、最終的にはどこかでえいやっと運に身を任せる必要があるはずです。

だってその企業の売上げが上がるかどうかは、自分の努力次第でどうにかなるものではありませんから!


ただ、その運の要素を少しでも減らすために、「自分自身が経営に携わる人=インサイダー」の、実際の投資情報を活用するのはいいアイディアでしょう、というのが今回一連の話でした。


彼らは自分のお金が大量にかかっているわけですから、私たちよりも遥かに本気で投資しており、また本気で業績アップに取り組んでいるはずです!



ちなみに、先ほど最後に示した企業別のインサイダー取引情報一覧画面で日付をクリックすると、実際のForm 4へ飛ぶことができます。

また、一番左のマスにあるDやMは、最下部に説明がありますが、DがDelivative商品の取引(通常、オプション)で、MはMultiple transactionsで、1申請で複数回の取引が行われていたものを指すとのことです。




そんなわけで、今回はOpeninsider.comの使用例でした。

このサイトは素晴らしいですね。

一覧から気になる企業を見つけるのも、気になる企業のインサイダー取引一覧を見るのも、このサイトでバッチリだと思います。


これを読まれた方は今回、少なくとも、ご自身の保有銘柄のインサイダー取引状況のチェックぐらいは絶対にしておいた方がいいのではないかと思います。


このサイトを活用し、みなさまも良いインサイダー取引情報ライフをお過ごしください!

2 件のコメント:

  1. 返信
    1. コメントありがとうございます!

      ただの誤爆じゃないことを祈りますが・・・何に対してなのかも分かりかねる形ですが、素敵と思っていただけたら幸いです。

      とりあえずOpeninsider.comは素敵ですね。

      サイトデザインが凝っておらず無骨なのもまた素敵です。

      無料で使えるのが信じられないですが、もしも有料化したとしても、会員になってもいいかもとすら思える有能サイトです。

      上手く活用して、お互い投資をがんばりましょう。

      削除

※特に意味もないかなと感じたので、コメント承認ステップはなしにしました。
投稿後、即座に反映されるのでご注意ください。