2018年2月11日日曜日

米国株OP取引の実践的解説6:買いと売り



(前→その5:オプション板の見方・実践編 / 次→その7:オプション売りを例えて

前回までの解説記事でも私が実際に行った取引報告の例でも、これまでは全て、オプションの買い取引のみに着目してきました。


しかし、オプション取引では、買いポジションのみならず、売りポジションにもエントリーすることが可能になっています。


これを知らないと、オプション取引の魅力が半減ですね。


オプションというだけでもややこしいのに、それを売る?何を元手に何を売るの?・・・などと最初は混乱しがちかと思うのですが、順に説明してみましょう。


オプションの売り:特別必要なものは何もなし!現物口座で可能


まず、現物株取引の場合、信用口座を作成しないと売りポジションに新規エントリーすることはできないのですが・・

(もちろん、自分が既に保有する株を「売る」ことは、当たり前すぎますが可能です。そうではなく、売りから入る、すなわちショートポジションを持つ、いわゆる「空売り」は、信用口座でないとできない、ということですね)


・・・オプション取引の場合、現物口座であっても、オプションを買うことができる人なら(※)絶対に、売りポジションを持つことが可能です。

 (またこれも当たり前すぎますが、オプションを買えない人は、オプションを売ることもできません。すなわち、以前触れたとおり、オプション取引の取り扱いのない国内の証券会社からでは、現状オプション売りは不可能です。)


実際私は信用口座を作ったことがありませんし、未来永劫絶対に作ることはありませんが、オプション売りを何度も行ったことがあります。


ただ、これまでの記事で買い一辺倒であった通り、最近はあまりやっていません。

その理由については、今後していく予定の実際の詳しい解説の中で、おいおい述べていきたいと思います。


とにかくポイントとしては、信用取引口座を開設したりだとか、何らかの申請だとか、そういった特別な準備は一切必要なく、オプションを購入可能な口座をお持っている人であれば誰でも、買うのと全く同じように売却(ショート)可能だということです。


オプション取引で可能な4つのポジション


そんなわけで、オプション取引では、実は「買い」と「売り」の2つの選択が常に可能となっているわけです。

そして、これまで私の記事を読んでいただいていた方にはもう今さらな話かと思いますが、最初の解説記事で、「オプションにはコールとプットがある」と述べていました。


つまり、実はオプション取引には、大きく分けて4つのポジションエントリーがあるということになるのです。


その4つとはもちろん、上記の2種類ずつの選択肢を組み合わせて、


・コールの買い

・プットの買い

・コールの売り

・プットの売り


になります。


これは、言い換えると、というかやっている内容を分かりやすく書き下すと、

『対象株を、指定された価格で・・・

・「買う権利」を買う

・「売る権利」を買う

・「買う権利」を売る

・「売る権利」を売る

・・・取引である』ということになります。



全く分かりやすくなってなくてワロタ、としか思えませんね。


今回の記事では、せっかくの機会なので、オプション売りの詳しい解説に入る前に、私なりにそれぞれの取引をどう捉えているのかと、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみようかと思います。


1. コールを買う

これは、今までもう何度か実際に私がエントリーした取引を見ていくことで、実践的な説明をしてきました。

簡単に言えば、「満期までに対象の株価が上がってくれなければ敗北というリスクを負う代わりに、株価が予想通り上がってくれたら、その上昇率以上の、時にはその数倍から数十倍の信じられない大きさの利益が得られる」取引になります。


相変わらずあんまり簡単に言えてませんね。


まぁ具体例で言いますと、例えば先日、スナップチャットのSNAPは好決算で株価が前日比+47.58%の凄まじい上昇を見せていたのですが、一番ベストなコールオプションを買っていた場合、何とまさかの前日比+4900%という、現物株買いどころか仮想通貨であっても絶対にお目にかかれないレベルの、あり得ない超絶価格アップを見せていました。


以前貼った、現地時間2月7日引け時点のSNAPオプション板

株価が前日比1.48倍になっているのを尻目に、そのコールオプションを購入して持っていた人は、1日でその購入資金が50倍になったわけです。


最早これ以上の説明は不要でしょう。


この凄まじい破壊力を有する夢のある取引、日経平均オプションでは、日経平均自体がそこまで大きく動くことは絶対にあり得ませんから、ごまんとある個別株銘柄を対象としている、米国株オプション特有のものだと思います。


軽くまとめてみます。

【コール買いのメリット】

・予想通りに対象の株が値を上げてくれれば、その株価上昇率以上の、凄まじい大きさの値上がりが可能

・信用買いとは違い、どんなに予想が大はずれしても、追証からの借金コースは絶対にない。最大の損失は、投入した資金を全額失うのみ

【コール買いのデメリット】

・メリットの裏返しで、株価が予想に反して下がってしまった場合、その下落率以上の、凄まじい大きさの損失を一瞬で抱えることになる(ただし、上で挙げた通り、その損失は最大で0、マイナスになることはない)。
 当たり前ですが、大きな損失を食らうことは、割とよくあります。

・さらに、満期というものが存在する。すなわち、時間の経過が敵であり、保有ポジションの価値は、日々、刻一刻と減っていく。その価値の減衰に打ち勝つ値上がりを見せてくれなくてはいけない!

・言い換えると、株価が下落しても、そのまま保有して半永久的に再反発を待つことができる現物株の保有とは違い(そういう「塩漬け」がいい悪いはともかく、現物株にはそうすることができる時間的余裕がある)、コール買いでは再反発を待つ余裕がないことも多い。満期を迎えた翌日に株価急騰でもしたら、悔しすぎて泡吹いて倒れるレベル。



2. プットを買う

これも、特に最近の私のエントリーはプット買い中心なので、最近の記事で何度も見てきたとおりです。


さらに言うと、上のコール買いとメリットデメリットはほぼ完全に同じ、株価が上がると嬉しいか下がると嬉しいか、の違いのみですね。



ただ、コール買いよりさらに際立ったメリットとしましては、わざわざあえてコールを買わずとも、現物株買いからでも、一応株価のアップから利益を生み出すことが可能なのとは違い、現物口座しか持たない我々には、株取引では特定の株の下落方向に対して積極的に資金を張る取引ができない、という大きなポイントがありますね。


プット買いであれば、特定の株の下落期待ポジションに、現物口座からエントリー可能・・・その意味で、プット買いは、コール買い以上に大きな意味を持つ取引ではないかと個人的に思います。

空売りより安全に、しかも得られる利益も空売りなんかより遥かに大きくすることも可能ということで、隙がありません。


またさらに言うと、これまで私は、この先落ちそうな銘柄のプットを買うことで積極的に利益を産み出しに向かっていっている感じなのですが、そうではなく、プット買いポジションを、「自分が保有するポジションの、突然の暴落に対する保険」としての使い方も可能です。

ちょっと考えればわざわざ説明するまでもない当たり前の話でしかありませんが、いずれまたそういう使い方の解説記事も書いてみようかと思っています。


コール買いで書いたもののコピペも一部ありますが、まとめるとこんな感じでしょうか。

【プット買いのメリット】

・対象の株の下落方向に、積極的に資金を張ることが可能。空売りのできない現物株口座では、このプット買いが個別株ショートの唯一の方法

・予想通りに対象の株が値を下げてくれれば、その株価下落率以上の、凄まじい大きさの利益ゲットが可能。

・空売りとは違い、どんなに予想が大はずれしても、追証からの借金コースは絶対にない。最大の損失は、投入した資金を全額失うのみ

・保有株の突然の暴落に対する保険、いわゆるヘッジポジションとしても非常に強い役割を果たしてくれる。

【プット買いのデメリット】

・メリットの裏返しで、株価が予想に反して上がってしまった場合、その上昇率以上の、凄まじい大きさの損失を一瞬で抱えることになる。

・さらに、満期というものが存在する。すなわち、時間の経過が敵であり、保有ポジションの価値は、日々、刻一刻と減っていく。
 その減衰に打ち勝つレベルで、株価が値下がりを見せてくれなくてはいけない!

・それに関して、満期まで時間がない中で株価が大きく上がってしまったら、再反発下げを待つ余裕がないことも多い。
 諦めてポジションを閉じたり、満期を迎えた翌日に株価大暴落でもしたら、悔しすぎて泡吹いて倒れるレベル。


3. コールを売る

詳しい解説は次回以降していこうかと思います。今回は個人的に感じるメリット・デメリットのみを述べてみましょう。

【コール売りのメリット】

・現物株を保有する銘柄から、毎月あるいは毎週、収入を得ることが可能となる!銘柄によってはかなりの大きさの収入になり、3ヶ月に1度しかないごく小額の配当など、お話にならないレベルの収入になる。

時間の経過が味方。とにかく何事もなく日々が過ぎ去ってくれれば、それだけで自分の利益になるという、時間というものをお金に換えることが可能な取引。

・株価が横ばいでも利益をあげられる夢の取引!上がりすぎもせず、下がりすぎもせず、横ばいが一番嬉しいという面白いヤツ。


【コール売りのデメリット】

・原則として、自分が現物株を保有している銘柄に対してしかコール売りをしてはいけない(カバードコール)。
 現物株を持たずにコール売り(いわゆるネイキッドのコール売り)をすると、潜在的な損失は、青天井無限大で、超危険!

・ 毎週の収入とはいえ、やはりオプション買いで得られる可能性のある桁違いの利益に比べると、非常に小さい

・その小利を毎週追い続けることで、いざ保有する現物株が急騰爆上げした場合、その株価アップによる大きな利益を失ってしまう可能性がある(もちろん資金的に損はしないが、得られたはずの大益を逃すことになるので、精神的な損失は非常に大きい。泡吹いて倒れるレベル)。


4. プットを売る

こちらも、今回は個人的に感じるメリット・デメリットのみを述べてみましょう。

【プット売りのメリット】

・これもコール売りと同じく、時間の経過が味方。対象株の株価が、大きく下がりさえしなければ、上がっても、横ばいでも利益を得ることが可能。

・安全にアウトオブザマネーのプットを売れば、通常時は、極めて高い勝率で利益を得ることが可能。
 ただし、まさに最近のような市場クラッシュが来て株価が大きく下がってしまった場合は・・・

・↑などと恐怖をあおる書き方をしたが、現物株口座で取引をする場合、下のデメリット1つ目の条件があるので、実際は「高値で現物株を掴んでしまった」程度の話であり、借金を負ったり、致命的な傷を負ったりするわけではない。


【プット売りのデメリット】

・現物株口座の場合、プットを1枚売却するのに、対象株を行使価格で100株購入するだけの余力資金が必要となる(プット売りポジションを保有している間、その資金はずっと拘束され続け、一切使えないムダ資金となる)。

 例えば現在株価が1340ドルのAMZNのプットを1枚売るには、大体1300×100=13万ドル、約1400万円程度の資金が必要。
(ただしこの仕組みのおかげで、実際に権利が行使されてしまっても、拘束されていた資金を使って対象の株を指定数買わされるだけになる。追証や借金は発生しない)

・基本的に勝率は極めて高いが、小利
 掛け資金が大きいならそれでもそれなりに大きな定期収入を毎週のように得られるが、資金効率はやはりオプション買い取引の比じゃなく圧倒的に低いので、非常に大きなムダ資金の拘束が、若干バカらしくなる(私が最近売り取引をしないのが、この理由です)。

・既に上でも言及したが、常時は基本的に勝つものの、株価大暴落の時にプット売りポジションを持っていようものなら、再起不能な致命傷とまではいかないけれども、やはり大きく損失を食らうことになる。

 それまでこつこつ貯めた小利が、一瞬でドカンと蒸発するのも稀によくあり、例えば週末プット売りポジを持ち越している時に大災害でも起ころうものなら、泡吹いて倒れることになる。




・・・ということで、オプション売りに関する詳しい解説は次回以降にしようと思いますが、1つだけ触れておくと、最初の方で、オプション売りには「特別必要なものは何もなし!」と書いたのですが、実際コール売りには事実上100株以上の現物株が必要ですし、プット売りには、口座内に100株を買えるだけの余力資金が必要です。


制度上、書類申請とか何年以上の取引経験とかそういう手続き的に必要なものはない、しかしやはり、どんな取引でも先立つもの(親指と人差し指で丸を作りながら)は必要である、ということですね。

(もちろんオプションの信用取引であれば、そういった大きな資金なしに、信用枠を使って大きな売りポジションにエントリー可能かと思いますが、それはあまりに危険ですし、私は信用取引の経験がないので解説もできません)


私は当面オプション売りポジションにエントリーすることはないと思いますが、間違いなく投資戦略上非常に有効なものに違いはないので、順次オプションの売り取引をもう少し詳しく見ていこうかと思います。

2 件のコメント:

  1. Kさん頑張れ!

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  2. Kさん頑張れ!

    本当に、損得とか抜きに心から応援したくなる、そんな人ってなかなかいないですよね。

    Kさん頑張れ!!

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