2018年2月4日日曜日

米国株OP取引の実践的解説4:オプション板の見方・基本編


(前→その3:オプション買い取引・損益の実際 / 次→その5:オプション板の見方・実践編

今回はオプション板の基本的な解説、各項目の意味を見ていこうと思います。

もちろんお使いの証券会社によって取引ツールの画面は異なるため、配置や表示項目は人によってバラバラだと思うのですが、今回示す項目が、オプション板を見る上で必要にして十分なものかな、と思います。

(大体どの証券会社でも似たようなレイアウトでしょう)


昨日の記事内で貼り付けていた、KODKの最新のオプション板を使って説明していきましょう。


スペースの都合で番号付けがあっちこっち飛んで分かりにくいかもしれませんが、ご了承ください。

(というか、Bloggerで画像を貼る場合、どうも大きい画像を原寸大とかで貼るとレイアウト崩れを起こすようなので、毎度拡大しないと見辛いレベルの、小さめの画像でどうも申し訳ないです。クリックすれば十分見られるレベルの画像になると思います)


2018年2月2日時点の、KODKオプション板

1. 株価情報

私の使っている取引ツールでは、最上部に株価情報が載っています。

恐らく、どのようなオプション板であっても、株価や出来高といった各種情報は同じ画面で確認できるようになっていると思います。

オプションの価格は株価に連動しますから、当然ですね。

2. コール(Call、左半分)、プット(Put、右半分)

左半分にコールオプション、右半分にプットオプションが表示されています。

3. 満期(残り日数):Feb18 (14 days) など

オプションには満期が存在します。詳しい説明はまたいずれしようと思っていますが、 実践的には、満期が近いほどハイリスクハイリターン、遠いほどローリスクローリターンになると考えて良いでしょう。

なお、KODKは弱小株なので月1オプションしかありませんが、大型銘柄、例えばGEなんかですと、週1オプションが存在します。

2018年2月2日時点の、GEオプション板

株価情報とオプション板の間の日付をクリックすることで、表示させたい満期日を選択することが可能です(恐らくどのツールでもそうなっていることでしょう)。


なお、米国株オプションの満期日は、金曜日です。月1オプションであれば、第3金曜日が満期にあてられます。

4. 行使価格(Strikes)

中央にある柱が、行使価格です。

こちらも詳しい説明はその内にする予定ですが、意味としては、「ここに示されている価格で、対象の株に対して、コールなら買う権利、プットなら売る権利を、それぞれやり取りする」というものです。

現在の株価より低い行使価格は、コールならインザマネー、プットならアウトオブザマネーのオプションと呼ばれ、逆に現在の株価より高い行使価格は、コールならアウトオブザマネー、プットならインザマネーのオプションと呼ばれます。

インザマネーは薄いグレー、アウトオブザマネーは白地になっていて分かりやすいです。


なお、私の使っているツールでは、保有ポジションの行使価格の脇に、小さい三角形が表示されます。

緑色なら買いポジション、赤なら売りポジションなのですが、私はKODKの、2月第3金曜満期・行使価格7.5ドルコールと5ドルプット・7.5ドルプットの買いポジションを持っているので、緑三角形が表示されています。

GEの2月第3金曜満期・行使価格16ドルプットも買いポジションを持っているので、そこにも表示されていますね。

5. Bid(買い注文最高入札価格)とAsk(売り注文最安入札価格)

ここから具体的なオプションの数値データですね。

BidとAskが基本中の基本、要は買い板のトップと売り板の底ということですね。

オプションは株と違い、さすがに毎秒取引されるようなものではありませんから(取扱い項目数も異常に多いですし)、オプションの評価額は、BidとAskの平均値で算出されます(多分、どの証券会社でもそうではないかと思いますが、確認したことはありません)。


つまり、保有ポジションの含み損・含み益は、次に示す直近取引価格ではなく、BidとAskの平均値を使って計算されるわけです。

まぁ原則、直近取引価格はBidとAskの間になるわけですけど、あまり取引がされていない項目、例えばKODKオプション板にある一番左上の2月限・行使価格2.5ドルのコールなんかは、Bid 3.80ドル・Ask 4.00ドルで、直近約定価格は4.20ドルとなっています。

この約定価格は古いデータなので(恐らく、株価が大きく下落する前に、誰かが成立させていたもの。その後、株価が落ちてからは、誰も注文成立させていない)、このコールの評価額を算出する上では、やはり直近価格よりもBidとAskの平均値の方がより正確だということですね。

BidやAskは、基本的に株価の動きに連動して毎秒変わっていくものですので(もちろん大きく株価が動かなかったら不変なこともありますが)、常に最新なわけです。

6. 直近約定価格(Last)

これは解説不要でしょう。上でも触れた通り、一番最近取引が成立した時の、そのオプションの価格です。

7. 評価額変化(Mark Changeが価格の変化、Mark Change %がパーセント変化)

そのオプションの価格(先ほどから言っている通り、評価額=BidとAskの平均値が、計算に用いられます)が、前日比どの程度変わったかですね。

先ほど貼った私の保有するGEのプットは、前日比+53.42%も値上がりしました。
額で言うと(Mark Changeの所)1株あたり+0.195ドル、私は1万株分のプットを保有していますから、1950ドルの含み益アップということですね。


また、同じGEオプション板の上の方を見ると、昨日満期を迎えていた2月2日満期・行使価格16ドルプットは、まさかの+362.50%です。

たった1日で、値段が4.625倍になったという凄まじさですね。

ただ言うまでもなく、同じ行使価格のコールは、-95.00%と、1日で完全に紙くず化しました。

満期間近のオプション(特に行使価格のすぐ近くのもの)が、超ハイリスクハイリターンなのがご覧いただけるかと思います。


なお、前日からの「変化」ではなく「現在の評価額」自体を表示させることももちろんできるのですが、スペースが限られているため私は表示させていません。

大して重要でもないですし、BidとAskが表示されていれば1秒ぐらいで計算できますしね。

もちろん、広いモニターを使っている方は、現在の評価額(Mark)を表示させておくのも便利かと思います。

8. BidとAskの注文枚数

これも説明するまでもありませんね。Bid(買い注文最高提示額)とAsk(売り注文最安提示額)に、それぞれ何枚の注文が入っているか、ということが示されています。

なお、米国株オプション1枚は100株分なので、1枚の買い注文で必要になる資金は、表示されているBidの100倍になります。

(例えば私の持つGEのプットには、Bid 0.55で53枚の注文が入っていますが、この買い注文をしている人は、0.55 × 53 × 100=2915ドルの注文を出している、ということですね。
もっとも、Bidに入っているのは1人の注文とは限らないので、1枚だけ出している人もいれば、10枚出している人なんかもいることでしょう。
「現在0.55ドルの買い注文を出している合計が、53枚」ということですね)

9. デルタ(Delta)

オプション取引には、ギリシャ文字で表される便利な指標が存在します。

沢山存在するのですが、私が普段気にしているのは、このデルタぐらいですね(まぁ、実はデルタも大して気にしていませんが)。


デルタというのは、簡単に言えば、

「対象の株価が1ドル動いたら、そのオプションの価格が何ドル動くかの目安

です。


例えば上の画像で示した私の持つGEのプットは、デルタが現在-0.6513です。

つまり、GEの株価が1ドル上がったら、私の持つプットは大体0.65ドルぐらい値下がりすることが予想されるということです。

現在このプットの評価額は0.56ドルなので、0.65ドルも値下がりしたら価値はゼロ、つまりGE株価が1ドル上がってしまうと、余裕で紙くず化ということですね。

もちろん、これは比例関係にありますので、例えばGEの株価が0.1ドル上がったら、このプットは大体0.065ドルぐらい値下がりするということで、私は1万株分持っていますから、大体含み益が650ドルぐらい減ってしまうとう感じです。

逆に、GEの株価が1ドル下がったら、このプットはおおよそ0.65ドルぐらい値上がりすることになります。
(マイナスのデルタ値なので当然です。つまり、コールはデルタがプラス、プットはデルタがマイナスになっているわけですね)

よって、GEの株価が1ドル下がったら、私は大体6500ドルぐらいゲットできることになります。


ただし、これはあくまで目安で、実は株価が動くごとにこのデルタ自体も結構動いていくので、その通りにはならないんですけどね。

お前も動くんかい、そんなの指標として成り立ってないじゃん、って気もしますが、まぁあくまで数学的に導き出された理論値に基づく「今現在の目安」でしかないということです。


多分、もし一気にGEの株価が1ドル下がったら、次に示すIVも大きくなり、デルタ自体もディープインザマネーになるにつれて大きくなると思われるので、恐らくもっと大きな利益ゲットになることでしょう。

その辺の詳しい話も、またいずれしていきたいと思います。


まぁ、デルタは、そこまで重要視しなくてもいいかな、って気はしますね。

10. IV (Implied Volatility)

こちらは日本語でもIVと呼ばれる、いわゆるボラ(値動きの大きさ)ですね。

詳しい説明はまたいずれしようと思いますが、オプションというのはボラが大きければ大きいほど、価格が高くなります。


メチャクチャな値動きをする株は、当然将来の予想株価はとんでもなく大きかったり小さかったりしますよね。

オプションというのは将来の予想株価に値をつけてやりとりするものなので、ボラが大きいということは、それだけその予想が高値でやり取りされるようになる、というわけです。
(毎日10%ぐらい株価が変動する銘柄であれば、来月2倍になっていることも半分になっていることも十分ありそうなので、その予想券を買う人は多く、高い値が付く。
一方微動だにしない銘柄であれば、来月株価が+20%になるというような予想をする人は誰もおらず、その予想券は全く値が付かない状況になる)


言い換えれば、IVの高いオプションは割高であり、一般的にオプションの買い方不利、一方IVの低いオプションは割安であり、一般的にオプションの売り方不利、と言われています。


しかし、私は、IVの高いオプションが買い方不利とはあまり思いません。

日経平均オプションとかですと、基本的にIVはある程度の範囲内に収まるものなので上記の話はその通りだと思いますが、色んな動きをする銘柄のある米国株オプションでは、IVの高いオプションはずっとIVが高いままなので、買う時は割高でも、売る時も割高のまま売れることが多いわけですね。

つまり・・・と色々書こうと思いましたが、既に長すぎるので、その辺はまたの機会にしようと思います。


一応実際のデータを見てみると、最近デタラメな動きをしているKODKは、IVが150%、200%、400%超えなんてのもあります。

特に最近大きく値下がりしているので、コールに比べてプットのIVが軒並み高いですね。

これすなわち、プットの価格が上がっている= 下落を予想する人が大量にいる、ということでしょう。

私もその一人ですが、IVが非常に高くなっているとはいえ、本当にさらに株価が下落してくれれば、このプット買いからでも極めて大きな利益を出すことが可能です。


さて一方、最近不調とはいえ、デタラメな動きをするKODKと比べれば安定的な値動きのGEは、IVが30%前後ですね。

いたって健全なIVです。

GEは、KODKのように1日10%の株価変動とかはあり得ませんから、それがこのようにIVやオプション価格にきちんと表れている、という話です。

もちろんそれでも、昨日+362.50%アップしていたプットのように、極めて大きな利益を出すことも可能なのがオプション取引の凄さですね。

11. 出来高(Volume)

これも説明不要でしょう。この日、そのオプションが何枚取引されたかを示しています。

KODKは大体数百枚ぐらい、株自体の出来高が米国市場全銘柄中断トツトップのGEは、ものによっては1万枚以上と、オプションでもさすがの人気っぷりを示していますね。

12. 建玉(Open Interest)

こちらは、「現在何枚そのオプションが流通しているか」を表しています。

例えばあるコールオプションを、Aさんが新規購入・Bさんが新規売却で取引成立すれば、建玉は+1されます。

この後、Aさんが保有ポジションを売却して手仕舞い・Cさんが新規購入で取引成立すれば、建玉は不変です。

そしてさらに、Cさんが保有ポジションを売却して手仕舞い・Bさんが保有売りポジションを買い戻して手仕舞い、という形で取引成立すれば、このオプションは1枚消滅することになるので、建玉が-1されるという形ですね。


大体どの程度の人がポジションを保有しているか・どの程度の流通量があるかの目安ですが、原則米国株オプション取引では、BidやAskに近い価格で注文を出せば、ほぼ間違いなく約定するぐらいに取引が盛んなので、出来高や建玉が小さすぎるオプションは避けるべき、とは、私はあまり感じません。

もちろん、GEのように圧倒的な流通量があれば、売りたい時にリーズナブルな価格で必ず売れるという安心感はありますけどね。

そこまで重要視する必要はないでしょう。



以上、オプション板各項目の基本的な説明でした。

次回はより実践的な見方・考え方について見ていこうと思っています。

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