前回はSEC公式のEDGARデータベースから、インサイダー取引に関する提出書類であるForm 4を調べる方法を見てみたのですが、お役所仕事といいますか、これが何とも読みづら過ぎるわけです。
(もちろんSECの仕事はデータを収集・保持することであり、見やすい形の一覧データを提供するのが仕事ではありませんから、それ自体文句をつける筋合いのある話でもありませんが・・・)
そこで、もう少し見やすく分かりやすい情報を参照しよう、というのが今回のテーマです。
もちろんデータサイトなど無数に存在しますが、私はやはりある意味公式のデータサイトである、我らが愛する取引所、Nasdaqにあるデータが、必要にして十分ではないかと思います。
今回は、現在日本で1番米国株投資家に愛されている米国企業・GEを見てみましょう。
http://www.nasdaq.com/symbol/ge
ページ左側に各種メニューが揃っていますが、インサイダー取引情報は、何とも分かりやすく1番下に存在しています。
早速クリックすると・・・
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Nasdaq、GEのインサイダー取引情報より |
最近3ヶ月と12ヶ月のインサイダー取引そのものの数(上)、そして取引された株数(下)の概要がグラフで示されています(緑が購入、赤が売却)。
さらに下にスクロールすると、具体的に誰が、いつ、何株取引したかといった情報が、Form 4の情報に基づいてまとめられています。
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Nasdaq、GEのインサイダー取引情報より |
売却 (Sell)、処分 (Disposition) やオプション行使 (Option Execute) 等は、前回述べた通り判断に難しいのであまり重視する必要はないでしょう。
重要視すべきは、やはり、購入 (Buy) です。
見てみると、上から3つ目に、ディレクターであるTisch Jamesさんが、11月21日に、300万株も購入しています!
その日の終値は17.82ドル、この購入後、現時点で354万株保有しているようです。
すなわち、Tisch Jamesさんという、今これを読んでいる誰よりも、ウォーレン・バフェット氏よりも、地球上で一番GEの内情に詳しい中の1人が、自分の貯金箱を割って、約60億円分のGE株を自腹で購入したことが報告されているわけです。
私は、GEは必ず大きく復活すると思います。
なぜか?
世界一GEのことを知っている人が、自分のお金を60億円もGE株の購入に費やした、ただそれだけの理由です。
ただそれだけの理由ですが、これほどまでに説得力のある理由は、私には他に思い浮かびません。
もちろん彼だって神様じゃありませんから、上手くいくと思ったけど、実は上手くいかなかった、という結果になることもあるでしょう。
上手くいくと思って始めた事業が全て上手くいく程、世の中は甘くありません。
ただ、もし私がGEホルダーであったら、この情報は非常に心強いのでホールドし続けようと思うでしょうし、特に何の根拠もないけど何か良さそうだからあの株を買おう、というのよりは、遥かに信頼を置くに値する、意味ある投資根拠になると思います。
繰り返しますが、自分が中心となって進めているプロジェクトのこの先に全く自信がなかったとしたら、自腹で60億円を投資しますか?
自分の立場に置き換えれば、明らかです。
もし、どう考えてもお先真っ暗のどうしようもない事業だと分かっていたら、60億円なんて払うはずがないんです。
なぜ払ったか?
世界で一番自分がよく知っているその事業が、この先上手く行くことに確信を持っているからに他ならないでしょう。
そして、その確信を持っているのは誰か?世界有数の大企業の、ディレクターになれるほどの有能な人が、です。
GE復活の可能性は、非常に大きいと言えるのではないでしょうか(必ず復活するとは言っていません)。
※注:ただし、よく見たら、この購入の「Owner Type」は「indirect」、間接所有なんですね。
つまり、散々「自腹で60億」とか言っちゃいましたが、実際はポケットマネーではないようで、SECのサイトから実際のForm 4を見てみたら、TischさんがCEOを務める、Loews Corporationが直接所有する、という形式のインサイダー購入であったようです。
しかし、会社の資金であろうと、自身が運営する企業のお金ですから、これはもう自腹で60億払ったみたいなもんです。
GEではあくまで1ディレクターですが、LowesではCEOかつPresidentですから、この会社のお金は彼自身のお金といっても過言ではないわけです(公私混同)。
・・・っていうかLowesも相当な大企業ですよね。ティッシュさん、日本語表記だと面白い名前のくせに、なかなかやりますね!!
ともかくポジティブニュースには変わりないことでしょう。GEは来ますよ、今年、多分!
ただこれも前回書いたことと関連しますが、この大型インサイダー購入後、年明けまで、GEの株価はむしろ彼の買値を下回る日々が続いていました。
即効性には欠けるんですね、やはりどうしても。
下手にインサイダーが大量に買った瞬間から上がったら、あらぬ疑いをかけられるというのもあると思いますが、そもそも事業が好転するには時間がかかるのも当然です。
したがって、この戦略は、やや中長期投資向けかな、と思います。
「中編」とした通り、あと1回だけインサイダー取引に関する話を続けようかと思います。
次回後編、インサイダー取引情報決定版へ続きます。
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