2018年3月4日日曜日

米国株OP取引の実践的解説10:オプション売りの続き…株価完全横ばいでも大きな利益をゲット!


(前→その9:高配当なんて目じゃないオプション売り取引 / 次→その11:カバードコール売り

米国株オプション取引の解説シリーズ、ここ何回かはオプション売り取引に着目しているわけですが、今回は、既に何度か話に出している、カバードコール売りを取り上げてみようと思います。
 

・・・という予定で書き進めてみたんですが、カバードコール売りの話につなげるべく、シリーズ前回の記事の続きから話を始めた所、例によって本題に入るまでにめちゃくちゃ長々と話が膨らんでしまったため、カバードコール売りについては次回に回そうと思います。


そんなわけで今回は、前回の記事の続きになります。


その前回の記事の中で、主にAMZNオプション板を取り上げ、私がAMZNのオプション売り取引をするならこうするかな、などと述べていました。

先週その記事で貼っていた画像を再掲して振り返っておきましょう。

2月23日引け時点のAMZNオプション板
記事から該当部分をコピペします。
 
そうですね、私なら、最初に挙げた例と全く似たような感じで、やや安全に、しかし過度にリターンは下げず、行使価格1490ドルのプットを、16.20ドルとかそのぐらいで売却ですね。


これで、来週金曜日、AMZN株が1490ドルを割っていなければ、それだけで1620ドルの丸儲けです。

株価完全横ばいでも結構な利益というのも、凄まじい点ですね。 


・・・という感じで、 もし例として示していたこの通りに行使価格1490ドルのプットを1枚売っていたらどうなっていたのか、2月最終週~3月第1週のAMZNの値動き(5日チャート)と、金曜日引け時点のオプション板を見てみましょう。


https://www.google.com/search?q=NASDAQ:AMZNより

3月2日引け時点のAMZNオプション板

・・はい、というわけで、全くこうなるとは予想していませんでしたが、AMZN株価はこの1週間で、(最初と最後だけ見れば)驚くほど完っ全に横ばい!!

木曜日から金曜日の始まりにかけてAMZN株は(というか市場全体的に)結構落ち込んでいたのですが、金曜日はあれよあれよと回復、結局、AMZN株価はまたもや1500ドルほぼピッタリに戻してこの週の取引を終えています。


従いまして、もし先週上記で宣言していた通りの取引をしていたら、売却したプットは紙くず化して無価値になりましたので・・・この1週間で、完全に横ばいだったAMZN株から、1620ドル=約17万円もの収入を得たことになっていたわけです。


もちろん、前回も述べた通り、この取引には 1490 × 100 - 1620=14万7380ドルの余力資金がなければエントリーすることができないのですが、それだけの資金があれば、1週間で17万円、その余力資金の1%以上の現金をゲットできていたということですね。


完全に横ばい値動きからも、大きな利益を引き出せる=オプション売り取引!


「完全に横ばいの値動きからでも大きな利益を生み出せる」というのは、高配当銘柄でもそうであるように思えるのですが、実は、「利益の大きさが違う」「利益を得られる間隔が圧倒的に短い」といった既に以前触れていた点以外にも、確実にオプション売りの方が優れている面があります。


それは、オプション売り取引の利益の源泉が「時間」という株価には一切直接的な影響を与えないものである一方、配当というのは事実上「株価を切り崩して現金に変える」という性質のものであり、保有資産的には実は何も価値(利益)を生み出していない、という点なのですが、その辺もまたいずれ機会があれば取り上げてみようかと思っています。



それはともかくAMZNの例に戻りますと、今回の値動き、実は正直、木金の急落で、「あ、あの記事で例に出していたプット売りは権利が行使されそうだな。次の解説記事で触れようと思っている、カバードコール売りの説明にちょうどピッタリだ」とか思っていたのですが、結局AMZNはあまりにも強く株価は急回復、例として示した仮想取引のプット行使価格を割ることはなく、上手くカバードコール売りの説明につなげることにはなりませんでした。


まぁ、カバードコール売りに話を持っていくために(※最初に書いた通り、記事が長くなりすぎたので、カバードコール売りの話は「次回へ続く」になりますが)、そうですね、先週2月23日の時点で、「AMZNは伸びる!」と積極果敢に、インザマネーである行使価格1505ドルプットを1枚売っていたとしましょうか。


当時、3月2日満期のそのプットは、Bid 22.55 Ask 23.00で、評価額は22.775ドルだったので、まぁ若干買い方有利である、22.75ドルで売却できたとしましょう。


さてこのプットはどうなったかといいますと、3月2日満期を迎えて、2枚目のオプション板画像を見ますと、Bid 2.98 Ask 6.15、評価額は4.565ドルにまで値下がっているようです。

かなり値下がりはしていますが、このプットはなおもインザマネーであり、満期を迎えても値段がついたまま、つまり紙くず化していません。


この時点で、このプットを売っていた人が取れる選択肢は、

1. 放置して権利が行使されるのを待つ

2. プットを買い戻す


・・・の2つになります。


1番の選択肢を選ぶならば、待っている未来は、「現在1500.25ドルのAMZN株を、行使価格である1505ドルで100株買わされる」です。

まぁ、単純に今の株価と比べると、1株あたり4.75ドル高い値段で買わなければいけないわけですね。


2番ならば、市場価格より高い価格でAMZN株を買わされることはありませんが、このプットを買い戻すのに、大体500ドルぐらい使う必要があります。
(評価額的には456.5ドルの支払いになりますが、実際の株価を鑑みて、確実に買い戻すには500ドル弱は払う必要があるでしょう)

 もちろん、1株あたり22.75ドルで売却したものが4.5~5ドルぐらいに値下がりしているわけで(※おさらいですが、米国株オプションは1枚が100株にあたるので、1枚だけの取引でも、売却代金として2275ドルの利益をゲットしていたということですね)、500ドルぐらい出して買い戻しても全然いいのですが、私ならもうそのまま放置して、権利が行使されるのを待つと思います。

オプション取引は手数料が高いですし、わざわざ手数料を払って買い戻すこともないでしょう。


1番も2番も、どちらを取っても結局総資産的には500ドルぐらいのマイナスが生じるのに違いはありません。

(ただし、最初に2275ドルの利益をゲットしているので、このオプション売り取引のトータルではもちろん大きなプラス)


1番の放置戦略の場合、市場価格である現在の株価より4.75ドル高い値段で100株も買わされるわけですが、買うことになるのは現在世界最強と読んで差し支えない、AMZN株です。

4.75ドル高かろうと、買いましょう、AMZN株を!


ちなみに、上でももう既に似たようなことを何度も述べていますが、「AMZN株を、現在の株価より4.75ドルも高く買わされる」と言いましても、実際は、プットの売却により、1株あたり22.75ドルの利益をゲットしていたのでした。

ということで、トータルで考えると、実はAMZN株を100株、現在の株価より、1株あたり22.75-4.75=18ドルも安く買えたことになるんですね。


ちょっと色々数字が行ったり来たりでややこしいかもしれませんが、その辺の話も、(実は理解してしまえばあまりにも単純すぎる話なのであえて取り上げる内容でもないんですが)「オプションにはそういう使い方もある」という意味で、またキャッチーなタイトルを付けて別の記事で取り上げてみようと思っています。



ともかく取引の例に戻りますと、行使価格1505ドルプットを売っていた場合、金額ベースでは、1株あたり18ドル=合計1800ドルの利益を得られたことになります。


先週挙げていた、「行使価格1490ドルプットを売る」場合は、最初に書いた通り1620ドルの利益でしたから、やはりよりハイリスクハイリターンな「インザマネーのプット売り」の方が利益が大きくなった形ですね。


ただし、「行使価格1490ドルプット売り」の場合は、プットを売って得られた売却代金が完全丸儲け(先週の状況から変わった点は、手持ちの現金が増えただけ)である一方、「行使価格1505ドルプット売り」の方は、「AMZN株を100株保有」という状況になることに注意です(ただし、そのAMZN 100株を今すぐ売れば、計1800ドルの現金利益が得られることにはなりますが)。


さて、ここでは、次の「カバードコール売り」に話を続けるべく、「行使価格1505ドルプット売り」をして、最終的にプットは買い戻さず放置戦略を取り、AMZN株を100株買うことになった、という状況になったとしましょう。


AMZN株を購入したことで、プット売りエントリー時に証券会社に拘束されていた証拠金である1505 × 100=15万500ドル程度の現金が、AMZNの株券に変わってしまいました。

これで現金がなくなってしまったので、来週に向けてのプット売りができません。


これじゃあもうプット売りができないじゃあないか!「オプション売り取引で毎週収入」というのはウソだったの?

・・と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。


あぁそっか、買わされたAMZN株を週明けすぐ売って現金を取り戻せばいいんだね。でも、現在の株価より高く買わされたばかりのAMZN株を、すぐに今の低い株価で売るっていうのもシャクだなぁ・・・

・・と思われるかもしれませんが、それよりもいい方法があるわけです。


それが、「カバードコール売り」だということですね。


次回、カバードコール売りの説明へと続きます・・・

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