こないだ注目した米国市場初の4倍ETF、こちらは対象とする商品(連動元の原資産)がなんとまさかの為替相場とかいう非常につまらないもので、「ハイテク株4倍」「ダウ工業株4倍」等の魅力あるレバレッジ商品を期待していた所をもろくも裏切られてしまい、あまりのショックに全米が涙したと言われていますが、実はなんと!
常に未来を生きていると話題の我らが日本(単に日付変更線の位置が理由かもしれませんが)、なんとなんと、4倍など取るに足らぬわと鼻で笑うぐらいの高倍率商品を、実はとっくの昔から我々は持っているのであるという、とんでもない情報をキャッチいたしました!
それがこちら、楽天日本株4.3倍ブル型投資信託!!
楽天日本株4.3倍ブル公式サイトより |
以下に示すザイの記事が全てをまとめてくれていたので、まぁ私があえて今さら重ねて述べることは特にないんですけどね。
日本株の4.3倍の値動きをする投資信託が新登場!(ZAI ONLINEより)
既に登場から2年以上も経過しています。
(なお、4.3倍ほどではないにせよ、3倍を超える高倍率の商品は、SBIと野村から、もうずっと前に出されているようです)
しかもその対象は、為替相場のようなつまらない(←ボックス圏移動が基本で、極めて大きく動いたり、どちらか片方が成長し続けたりするとは考えにくい、という点において、です。FX取引自体は結構面白そうですけどね)ものではなく、日本株!
まぁもちろん、対象が大きくなればなるほど値動きは小さくなるものですから、特定のセクターを対象としたETFとかよりは確実に動きが小さくなると思われるので、個人的にはそれらよりは魅力に欠けるように感じますが、それでも為替なんぞよりは、遥かにレバレッジをかける対象として良いように思います。
日本株が成長し続ける限り、際限なくもの凄い速度で成長するわけですからね!
・・まぁ「際限なく」ではないでしょうが、少なくとも為替相場が一方へ伸び続けるよりは、遥かに大きい伸び代があることでしょう。
・・・が、当初4.3倍ETFと思っていたんですが、これは投資信託ですか・・・。
そもそも投資信託は個人的に興味の対象外なので適当な物言いでめちゃくちゃなこと言ってたら申し訳ないんですけど、投信ってETFと比較して何か優れている点ってあるんですかね・・??
投信自体の買い・売りの自由度も劣る気がしますし、必要経費もETFより基本高い気がしますし・・・。
ETFという、投信の上位互換に思える商品がこの世に生まれた時点で、投信はもうお役御免であるような気が少ししちゃいますが・・・。
あぁ、一応、本当にめちゃくちゃ凄いアクティブファンドの運営する投信であれば、世の中のありとあらゆる指数のリターンを大幅に上回ることが可能(一方ETFは、何かの指数なり価格なりに連動する商品なので、原則、リターンはその対象とする指数程度に落ち着く)、って点はありますか。
あるんですかね、そういう最強投信って?
個人的には、バフェットさんでも市場に劣後することがあるこの世の中、そんな都合いいものはないと断言して構わないと思うので、結局確実に引かれることになる経費類のより小さいETFが、株と同様に取引所で自由に売買できるという点も含め、投信より遥かに優れているように思います。
ただ、レバレッジ型ETFにどんなものかあるか調べていたら、「これ応用すれば最強なんじゃない?」と思える、結構面白そうな商品が目に付いたので、いつかちょっと取り上げてみようかと思います(流し読みなので、多分言うほど最強でも何でもないと思いますが)。
・・・と、正直「投信かぁ」と思ったのですが、こちらは「日本株の4.3倍に連動する」というパッシブなタイプのようですし、事実上ETFと大して違いはないんじゃなかろうか、という気もするので、せっかくですからこの4.3倍投信をちょろっと見ておくとしましょう。
こちらはYahoo!ファイナンスより、この投信のデータです
Yahoo!ファイナンスより |
どうやら1万円でこの投信はスタートしたようですが、現在の価格は9895円・・・。
まぁ、4.3倍レバレッジなら、よくやっている方なのでしょうか・・・。
しかし、この1年のリターンは73.28%と、これはさすが4.3倍と言える年利ですね。
そして最大損失率は、-16.33%・・・あれ、意外と小さいですね。
分配金は0ですが、この手の商品は分配金ではなくキャピタルゲインを狙うものでしょうから、問題ないでしょう(むしろレバレッジ型商品で分配金を出すものなんて、価格調整が複雑すぎて、多分存在しないですよね)。
そして、チャートを見るに、2月頭の急落の前までは、1万5000円オーバーしていたようですね。
ふむふむ、まぁ、言うまでもなく当たり前の話でしかないんですけど、日経が好調な時は、かなり強い商品になると言えそうですね。
最初に貼った公式ページから、各種データをもう少しだけ見ておくとしましょう。
気になるのはやはり経費全般ですね。
信託報酬は、年1.2204%ですか。
交付目論見書7ページより |
例の為替4倍ETNの経費率は年1.50%でしたから、これはもう全然、むしろETFより安いレベルで、文句なしですね。
しかし、購入時手数料、これが購入時のみとはいえ3.24%って、それマジ・・・?
1000万円分買ったら、その瞬間即30万円程が蒸発してしまうって、投信はこういう費用もかかるんですね・・・。
まぁでも4倍の倍率ですから、日経が絶好調なら、そんな程度の額は1日で取り戻せるレベルであることでしょう。
もちろん、前回見た為替4倍ETNの目論見書にもあった通り、こちらでもこの商品のリスクは、具体的な値動きの例とともに、しっかり述べられています。
交付目論見書2ページより |
その辺はもう語るまでもない話ですね。
高倍率レバレッジ商品は、潜在リスクに十分注意が必要です。
なお、今さらですが「日本株」と言っても具体的には何を指標に?というのは、目論見書1ページ目に述べられていますね。
引用すると、
わが国の株価指数先物取引およびわが国の短期公社債を主要投資対象とします。
株価指数先物取引の買建額が、原則として投資信託財産の純資産総額の概ね4.3倍程度となるように調整を行います。
・・とのことで、日経平均指数先物の4.3倍の値動きになるよう調整を行う、という感じでしょうか。
ただし、まぁアクティブ投信ですから、乖離することもあるようですね。
こんな但し書きが続いています。
ただし、追加設定、解約等による純資産総額の大幅な増減の影響等のため上記のような運用が困難と判断した場合、概ね4.3倍程度とは異なる一時的な調整を行うことがあります。
うーん、まぁ、しょうがないとはいえ、こういうあやふやな逃げ道があると、何か、いざって時に「一時的な調整です」でメチャクチャなことされそうで、まぁもちろんそんなことはないとは思いますが、仮に万一メチャクチャなことをされても文句を言えないというのが、個人的にはどうも気にかかる感じがしちゃいます。
関連して気になるのは繰上償還、いわゆる手切れ金を返す代わりに取引停止状態になる、という時の条件ですが、こちらは目論見書6ページに、
受益権の総口数が3億口を下回ることとなった場合、または、この投資信託契約を解約することが受益者のため有利であると認めるとき、もしくはやむを得ない事情が発生したときは、受託会社と合意の上、この投資信託契約を解約し、信託を終了させることができます。
とありますね。
うーん、これまた、具体的な条件なしに「やむを得ない事情」「受益者のため有利」と、何とも漠然とした物言いですか・・・。
こういうのはハッキリさせておいていただきたいですが、まぁ私は多分この商品を買うことはないので、一々文句を言うのもやめておきましょう。
なお、現時点での償還日、つまり信託期間は、最初に出したザイのページにもありましたが、2019年6月14日までとなっています。
しかし、ザイの2番目に挙げられている「SBI日本株3.7ブル」は、信託期間が2018年2月5日までとなっていますが、普通に今でも取引されているようなので、この信託期間というのは、よっぽど酷いパフォーマンスじゃない限り、延長されるものなのかもしれないですね。
良いパフォーマンスで来年以降も続くよう、日経が好調なことをお祈りしましょう。
・・あれ、あと気になった点ですが、Yahooファイナンスでは最大損失率は-16.33%となっており意外と小さいじゃんと思っていたことを既に上で書いていましたが、目論見書の収益率推移を見ると、2016年は-38.75%も下がってるじゃないのよ!
交付目論見書5ページより |
あ、Yahooの出している損失率は、多分「この1年での」って感じなのかもしれませんね。
・・いや、正直、2月から余裕で-30%超下落している気がするので、「この1年」でもなく、「2017年の1年間」なのかもしれません。
・・・っていうか、言っちゃなんですけど、日本版Yahooファイナンス、何かデータも少ないですし、そもそもチャート!・・あの、全くインタラクティブじゃないチャート、低機能過ぎて正直泣けてくるレベルです。
やっぱり、ドラッグで表示範囲を変えられたり、マウスポインタでポインタ上の株価を示したり、そのぐらいの機能は欲しいですよね。
正直、Yahooファイナンスは、自分なら絶対使いたくないぐらい酷い・・・。
まぁ、米国版Yahoo Financeがむしろ無料で使えるとは思えないぐらい高機能なだけかもしれないですね。
話が逸れましたが、まとめとして個人的な意見を言わせていただくと、私は米国株オプション買いの方が日本株4.3倍よりも遥かに大きな変動を見せるため、ボラマニアとしてはこの「楽天4.3倍日本株投信」には心動かされませんが、国内証券のみの利用で米国株オプションは触れないけれど、ボラの大きい商品で夢を見る枠も一部あっていいかな、と思われるような方には、こちら結構いい商品なのではないでしょうか。
もちろん、長期での運用にリスクが伴うのは、至る所で散々言われ尽くされている通りですね。
米国株投資家の方であれば楽天証券をお使いの方も多い気がするので、やっぱり日本株にも期待したい、あるいは結果の見えている選挙等、特定の条件で日本株が伸びることが大いに期待できるような場合には、この4.3倍投信を買ってみるのもありかと思います。
個人的には、金融取引なんて全て米国が一歩先を行っており、日本はアメリカより周回で遅れをとっているとばかり思っていたのに、昨年末に4倍のETFが出たばかりの米国市場に比べ、日本市場にはもうずっと前から遥かに高倍率のレバレッジ商品がずらっと並んでいたということで、新鮮な驚きでした。
何事も、知らないのに印象だけで決め付けるのは良くないですね。
この4.3倍ブルが世界一輝けるように、日経の伸びを大いに期待したい限りです!
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